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ステロイド治療の「メリットゾーン」と「デメリットゾーン」(2)

  • 1. ステロイド剤で痒みの感受性(強さ・頻度)が高まる
  • 順天堂大学から発表された論文など(※1、2)では、痒みを知覚する神経線維は、角質層内の乾燥などにより、本来の真皮内から角質層内に伸びてくることで、皮膚への外部からの刺激などを痒みとして知覚しやすくなることが述べられています。

    ※1「Topical application of emollients preventsdry skin-inducible intraepidermal nerve growthin acetone-treated mice.J Dermatol Sci. 2011May;62(2):141. 」より
    ※2「アトピー性皮膚炎と皮膚感覚受容器 顕微鏡 Vol 46,NO.4(2011)」より

    ステロイド剤の副作用には、皮膚の刺激感が強くなる、といったものがありますが、これはこうした痒みを知覚する神経線維の影響なども考えられます。

    また、感染症などによるバリア機能の低下は、角質層の水分蒸散量を高めることになり、角質層の乾燥から同様の状況を生むことがあります。こうした痒みを知覚する神経線維を刺激することによる痒みの場合、ステロイド剤のような免疫抑制作用による抗炎症効果は、痒みを抑える作用機序が異なるため、十分に得ることができません。もちろん、痒みの神経線維を刺激して生じた痒みにより掻き壊しが生じれば、炎症も同時に生じますので、そうした二次的な炎症から生じる痒みに対しては効果を現わしますが、元の刺激を受けた神経線維から伝わる痒みを全て抑えることはできません。

    ステロイド剤を使っていても、なかなか痒みが治まらないケースの中には、機能的異常としてこうした角質層内の神経線維が関わっていることがあります。

  • 2. ステロイド剤はやがて「効かなくなる」

  • 1994年に発表された論文(※3)では、ヒトの上皮細胞株(Hela S3 細胞)を用いて調べたところ、長期のステロイド剤投与により、上皮細胞株のステロイド受容体が、蛋白レベルとmRNA レベルでほとんど完全に消失したことが確認されました。
  • ※3「Regulation of the human giucocorticoidr e c e p t o r b y l o n g - t e r m a n d c h r o n i ctreatment with glucocorticoid. Silva CM etal.Steroid,1994;59;436-442.」より

    よく、ステロイド剤を長期使用していると「ステロイド剤が効かなくなってきた」という言葉を聞くことがあります。処方する医師は、こうした場合に、「アトピー性皮膚炎が悪化したので、今のステロイド剤では効かなくなってきたから、強いステロイド剤に変えましょう」ということが多いようです。

    もちろん、実際、アトピー性皮膚炎の症状が悪化したことで使用しているレベルのステロイド剤では「抑えきれない」というケースもあるでしょう。しかし、長期連用しているケースにおいては、論文にあるように、皮膚におけるステロイドの受容体が消失することで効果を得られなくなったケースも考えられます。実際、ステロイド剤を変える場合、今まで使用してきたよりも「弱い」ランクのステロイド剤に変更したら痒みが抑えられた、という実例もありました。

    気をつけなければならないのは、論文では、不可逆的に消失したステロイドの受容体はすぐには回復せず、次から次へと効かなくなって強いレベルのステロイド剤に替えていった場合、塗るたびに受容体が消失していけば、やがてはほとんどのステロイド剤が「使えなくなる」恐れがあるということです。

    実際の例としても、ロコイドなど弱いステロイド剤から使用を始め、その後10年ほど、病院を転々としながらステロイド治療を続け、最後はデルモベートなどの強力なステロイドでも効かない状況になった方がいました。その方の肌は、固く肥厚し、赤黒く色素沈着も広がり、乾燥状態がひどく、ひび割れも多くあるという、皮膚の細胞そのものに大きなダメージを受けていることは一目瞭然でした。

    このように使えなくなったときには、取り返しのつかない状況の方が多いという事実は理解しておくべき重要な点と言えます。ステロイド剤が「効かない」と感じた方は、デメリットゾーンの中にいる可能性が高くなりますので注意をしましょう。


  • 3. ステロイド剤が皮膚に蓄積する
  • ステロイド剤は塗布後、一定期間、皮膚に残留 することが確認されています。  1972年に発表された論文(※4)では、ステロイドホルモン軟膏を健常人の皮膚に塗布後、 16 時間密封したところ、塗布した皮膚には2週間 後でもステロイド剤の血管収縮作用が認められま した。

    ※4 「Stratum Comeum Reservoir For Drugs. Vickers CF. Adv Biol Skin. 1972;12:177-189.」より  

    一部の医師は、ステロイド剤の外用剤を塗布し ても、残留することはないから、一定期間使用後 に、期間をおいてリバウンド症状が出ても、それ はアトピー性皮膚炎の悪化であって、ステロイド 剤の影響ではない、と言っていました。  
    しかし、ステロイド剤はコレステロールの骨格 を持つため、全身の脂肪層に蓄積することは、他 の研究者も指摘をしており、実際、上記のような 残留したことを示す論文もあります。  

    今回の実験においては、わずか1日の塗布( 16 時間密封)であっても、最低でも2週間はその影 響(残留した影響)が確認された、ということです。 つまり、メリットゾーンにいると思われている場 合でも、残留したステロイド剤の影響を受けて いる可能性があることを示しており、デメリット ゾーンにいるような長期連用者においては、使用 中止後でも、かなりの期間、リバウンドなどの影 響が心配されます。 実際、ステロイド剤を 15 年間塗布後に、塗布を 10 年間全く中止した患者が、その後、リバウンドを 発症した例も報告されています。  

    残留したステロイド剤の作用機序は明らかにさ れていませんが、ステロイド剤は、同じ骨格を持 つコレステロールと結合、脂肪層などに蓄積し、 酸化コレステロールに変性することで起炎因子と なり、全身的に炎症を生じてリバウンド症状につ ながっていることを指摘する研究者もいます。  ステロイド剤の長期連用による影響 は、短期間で解消しない可能性がある ことに注意した方が良いでしょう。



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